暮らしの中の仏教まめ知識 第8回 「主人公」(しゅじんこう)

暮らしの中の仏教まめ知識 第8回 「主人公」(しゅじんこう)

暮らしの中の仏教まめ知識 第8回 「主人公」(しゅじんこう)

2020年02月24日
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暮らしの中の仏教まめ知識

「主人公」といえば、現在では映画やドラマなどの主役を指す言葉として使われていますが、本来は仏教語で意味も少し違います。

禅宗では主人公という言葉を、自分のなかにいる本当の自分という意味で用いられています。

中国の唐時代に、瑞巌禅師(ずいがんぜんじ)というお方がいらっしゃいました。
瑞巌禅師は毎日坐禅(ざぜん)をする時に、いつも独り言で「主人公よ!」と自分に呼びかけては、「はい」と自ら返事をしていました。

さらに「目を覚ましているか?」「だまされるな」などと問い、また「はい」と答える。そうして自問自答しながら坐禅していたそうです。

他人と比べたり世間の評価を気にしたりして、外にばかり目を向けると、本当の自分というものを見失いがちになります。
そこで、いつも主体的な自分というものを、はっきりと自覚していなければなりません。
「おい、主人公、目を覚ましているか」と自らを覚醒(かくせい)しなければならないのです。

現代で「個性的」というと、人と違っていたり、奇抜(きばつ)であったりといったことを連想しますが、
個性とは文字通り「個々の性質」のことです。
したがって、読書の好きな人が読書をすることは、じつに個性的な行為となります。
個々の性質に沿っているからです。

つまり、人と違うことが個性なのではなく、自分の心に沿うことが個性なのです。
このことはよく勘違いされやすいところなので注意が必要です。

同じ行為をする人が何人いても一向にかまいません。
何人いようと、どれだけ似ていようと、人と違っていなくても、人はそれぞれ完全に個性的な存在なのです。

自分が自分として存在している時点ですでに、人は自分という個性をなくすことなど、はじめからできはしないからです。

参考 「禅の視点」HP、「禅語に親しむ」HP、「臨黄ネット」HP、など

照寺住職 木村映之 住所 佐賀県鳥栖市本町1886 電話 0942824461
○浄土真宗東本願寺派 雲山来迎院 本照寺
※どなたでも参加できる行事… ボイストレーニング教室、ヨガ教室、坐禅会、寺子屋(小学生)、オカリナを楽しむ会木曜会(いすヨガ・法話・茶話会)

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