暮らしの中の仏教まめ知識  第13回  『カルピス』

暮らしの中の仏教まめ知識  第13回  『カルピス』

暮らしの中の仏教まめ知識 第13回 『カルピス』

2020年12月15日
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暮らしの中の仏教まめ知識

皆さまもよくご存じのカルピス。
この名前にも仏教が関わっていることをご存知でしょうか?

「カルピス」の生みの親・三島海雲(かいうん)は、1878(明治11)年72日、
現在の大阪府箕面市にある教学寺(きょうがくじ)の長男として生まれました。
西本願寺文学寮で学んだ後、英語の教師になった海雲は、仏教大学(現在の龍谷大学)に編入しましたが、
入学後間もない1902(明治35)年、大学からのすすめで中国大陸に渡りました。
中国で教師をした後、海雲は日華洋行という雑貨商の事業を行なうことになりました。
ある仕事で北京から内モンゴルに入ったとき、カルピスの原点である「酸乳」と出会います。
当地の遊牧民たちが毎日のように飲んでいた酸っぱい乳をすすめられるまま口にしたところ、そのおいしさと健康効果に驚きを受けました。
長旅ですっかり弱っていた胃腸の調子が整い、体も頭もすっきりしたのです。

酸乳を日常的に摂取しているモンゴル民族のたくましさに驚き、自らも酸乳の健康への効果を体験し、
その力を実感した海雲は、1915(大正4)年に日本に帰国、モンゴルでの酸乳をヒントに、
健康に良いものを人々に提供しようと思い、製品開発に取り掛かります。
試行錯誤の末、世界で初めて乳酸菌飲料の大量生産に成功し、1919(大正8)年77日に販売が開始されました。
そのカルピスの語源ですが「カル」は牛乳などに含まれるカルシウムから、
「ピス」は、仏教用語の五味(ごみ)の中の「熟酥味(じゅくそみ)」を意味するサンスクリット語「サルピス」から来ているとのことです。

五味とは、牛や羊の乳を精製する過程の五段階の味のことで、次のようになっています。
1:乳味(にゅうみ)  …牛乳    2:酪味(らくみ)   …ヨーグルト
3:生酥味(しょうそみ)…生バター  4:熟酥味(じゅくそみ)…精製バター
5:醍醐味(だいごみ) …チーズ

仏教では、牛乳から作られるものをこのように順番で表現し、最高位のものが「醍醐味」、次位のものが「熟酥味」になります。
サンスクリット語で「醍醐味」は「サルピルマンダ」、「熟酥味」は「サルピス」といいます。
本当は、最高位の「サルピルマンダ」から「ピル」を取り、「カルピル」とするところでしたが、
言いづらいので次位の「サルピス」から「ピス」を取り、「カルピス」と命名されたそうです。

参考「カルピス」HP、「由来タイム」HP、「日本文化研究ブログ」HP、ウィキペディアなど

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