設計の小林です。
本日も前回からの話の続きです。
主に土壌について。
日本には困った条件が4つあります。
1. 地形が急峻なこと。
2. 雨が梅雨と台風時に集中して降る。
3. しかも急峻な山々は火山性で岩石が風化して脆い。
雨のたびに山は崩れ、土壌が流され、土石流が下流を襲い、谷や川を埋める。
4. そして地震国。地の底から揺れている。
このような悪条件にも耐えて、土壌の流亡を防ぎ、1万年もの間文明を栄続けてきたのは、
我々のご先祖たちの努力が営々として続けられたからでありました。
例えば、森林づくりの最初の事業である治山砂防ですが、
『SABO』という言葉は、国際用語になっています。
その長い歴史中、律令国家が成立して間もない7世紀には、森林保全の法律ができました。
目的は、水田が洪水に流されないため、また水田に引く水を確保するためでした。
これが世界最初の保安林法といわれており、同時に、世界最古の砂防法、自然保護法と言っていいかもしれません。
しかしながら、土づくりのその努力を怠ったらどうなるか?
過去の歴史でも、北東風の来る東北の冷害地帯で、
収穫が平年の3%といった歴史的な冷害の年でも、
日頃から山の土を客土して土づくりを怠らなかった農地は、およそ50%の実りを上げていました。
また、水害や渇水の時でも、同様でした。
例えば94年、95年の大渇水では、
放置したままの広葉樹の森林からは水が枯れているのに、手をかけて育ててきた杉の森林からは、
それがわずか30年生の成長過程の森林であっても、例年と変わりなくとうとうたる水の流れが確保されていました。
日頃から人間が手をかけて土を養うということの大切さを、以上気象のたびに、私たちは教えられているのではないでしょうか。
続きはまた次回に。