建築年度で耐震性をチェック

建築年度で耐震性をチェック

建築年度で耐震性をチェック

2020年03月15日
テーマ
雑学

設計の小林です。

前回、住宅の耐震性に関して現在の建築基準法でも必要最低限の耐震性の規定しかない事をお伝えしましたが、
この基準法もこれまで何段階か規定が厳しくなって現在に至っております。

よって、住宅の建築年度によって、その当時の基準自体が異なりますので、
耐震診断・耐震補強のポイントに関して本日は簡単にまとめてみたいと思っております。

まず、耐震補強に関しては、現在の基準の強さを『1』としたときに、その『0.7倍~1.0倍』の強さを持つようにするのを目標として、診断の上、補強方法を検討し、工事を行うことが一般の流れとなっています。

次に、これまでの建築基準法とその中での耐震性の規定の流れを年代順にまとめてみたいと思っております。

1. 昭和25年、建築基準法が制定され、必要な耐震壁(筋交いのある壁)の量が初めて制定されました。
2. 昭和34年、必要な耐力壁の量が追加されました。
3. 昭和56年(1981年)、基準法が大きく改定され『新耐震基準』と呼ばれますが、必要な壁量もさらに追加され、柱や梁・土台と筋交いの取り付け部分(柱脚・柱頭)に『筋交いプレート』という金物の設置が義務付けされました。
4. 95年の阪神・淡路大震災の教訓を受け、2000年に耐震壁の配置のバランスの検討が義務化され、
さらに、筋交い部分の金物に関して各部分ごとに計算して、それに見合う金物の設置が規定されました。

以上の事から耐震診断を行う上で、その建物の建築年代ごとにそのポイントを整理しますと、

A.1981年~2000年の住宅は『新耐震基準』の住宅で耐力壁の量が最低限存在しているかもしれませんが、
そのバランスが偏っている可能性もあり、金物も不足している可能性が高いです。
B.1880年以前の住宅は耐力壁の不足、耐力壁のバランスの偏り、また金物の不足等も考えられます。

よって、耐震診断・耐震設計をさせていただく場合には上記のことを考えながら、調査をさせていただく事になると思います。

南海トラフ地震や大型台風への対策として、今後ご検討いただければと思います。

耐震実験.png

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