耐震と免振と制震

耐震と免振と制震

耐震と免振と制震

2019年09月08日
テーマ
雑学

小林です。

地震に対して建物を持たせる考え方がいくつかありますが、本日は、この方法の大まかなご説明をさせていただきます。
まず、地震の振動に対して持たせるという意味では、大きく分けると、次の3つの考え方は、どれも『耐震』という事になるかもしれません。
今回はこれらを、さらに3つに分けて述べたいと思っています。

1. 免振(地震の揺れを受け流す工法です。)
・現代のビルでは、建物と基礎の間に免振装置を設置し、地震と切り離すことで、建物に地震の揺れを直接伝えない工法です。
・木造の伝統的な工法でも、石の上に柱が立っている石端建ての工法も、地面とは縁が切れていますので、免振構造となります。
 この場合、建物の重量による摩擦が働きますが、 揺れの速さが速いほど、摩擦は小さくなり、揺れの伝達も小さくなります。
 (『だるま落とし』で、速いスピードで、たたいた時のイメージです。)

2. 制振(地震の揺れを吸収する工法です。)
・建物の内部に、錘(おもり)やダンパーなどの制振部材を組み込み、地震の揺れを吸収する構造です。
(上階ほど揺れが増幅する高層ビルなどの高い建物には非常に有効な工法といわれています。)
・木造の伝統的な工法では、そもそも、木材のめり込みなどの材料の特質を利用した接手・仕口で
 揺れのエネルギーを吸収したり、構造に関しても揺れを全体で柔らかく吸収する柔構造ですので、
 『免振かつ制振構造』とも呼べるかもしれません。
・特に、法隆寺に代表される五重の塔では、様々な技術が使われておりますが、
 『やじろべえ』のような原理を使った工法は、まさに制振の工法が駆使されております。

3. 耐震(ここでは、免振、制振と比較した場合の意味での耐震工法です。)
・地震による水平力に耐えうるために、筋交いなどの耐力壁をしっかりと、またバランスよく配置し、
 しっかり固めて、地震に対抗しようという工法です。
 近年の大地震に対して、金物や、様々な技術が、開発されてきております。

今後、私も、大地震に耐え、また台風や、水害といった様々な災害にも耐え、
かつ、日本の気候・風土でも長持ちする工法を、再度、真剣に考え続けなければいけないと、思っております。

法隆寺 五重の塔.png

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