暮らしの中の仏教まめ知識  第14回『ガタピシ』

暮らしの中の仏教まめ知識  第14回『ガタピシ』

暮らしの中の仏教まめ知識 第14回『ガタピシ』

2021年02月23日
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暮らしの中の仏教まめ知識

「ガタピシ」とは「大辞泉」によると
「建物や家具などのつくりが悪く、また、扱いが乱暴なために、きしむさま。また、その音。」や
「人間関係や組織の機構などが円滑でないさま。」などとされています。
最近はどの家もほとんどがサッシ戸ですので、現代住宅では「建具がガタピシ言う」なんてことは少なくなりました。
ですから読者の皆さまの中にはピンと来ない方もいらっしゃることでしょう。

ですが、お寺の場合は調子の悪い障子(しょうじ)や襖(ふすま)があちこちにあって、「ガタピシ」は日常でなじみ深いものです。
…ウチの寺だけかもしれませんが(^_^;)
うまく滑(すべ)らない襖(ふすま)を、コツを使ってスイッと開けられたら、けっこううれしいものです。
さて、人間関係でも、ガタピシ音がすることはありませんか?実はこの「ガタピシ」も仏教語が由来とされています。

「ガタピシ」を漢字で書いてみましょう。
一文字目の「ガ」は「我」と書きます。
二文字目の「タ」は他人の「他」。
「ガタ」とは「自分と他人」という意味です。

では、「ピ」と「シ」はいかがでしょう。
「ピ」と読む漢字を思い浮かべることは難しいかも知れませんが、これはお彼岸の「彼」と書きます。
一般的には「ヒ」と読みますが、仏教では「ピ」とも読みます。
そして四文字目の「シ」 は、「彼」とは逆の意味の「此」と書きます。
「ピシ」とは、「あちらとこちら」という意味です。

つまり、「我他彼此」とは、自分と他人を分け隔(へだ)て、あちらとこちらの繋(つな)がりを遠のけた心の様子をいうのです。
そのような気持ちで人付き合いをしていくとどうなるでしょう。
しょっちゅう他人と衝突(しょうとつ)し、争い、いがみ合うことになってしまうでしょう。

そんな時はどうしましょうか。
自分と他者を区別しないようにするといいのでしょうか。
私たちは聖人君子ではありませんから、難しいですよね。

ならば、自分と他人、違っていて当たり前。
違いがあるからすばらしい。
そう認めてはいかがでしょう?
ガタピシの音やギクシャクするのも当たり前と受け止めて、そこからどう距離を埋めていくかが私の腕の見せ所、
と考えることができれば、ガタピシの音も、やがて心地よいBGMになるかもしれません。

参考 「大辞泉」、「心の縁側」HP、「くらしの中の仏教用語」HP、「笑える国語辞典」HPなど

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