貫と筋交いの併用はお互いを補強しあってくれる 2

貫と筋交いの併用はお互いを補強しあってくれる 2

貫と筋交いの併用はお互いを補強しあってくれる 2

2021年02月28日
テーマ
雑学

設計の小林です。
本日は、前回の『貫と筋交いの併用による効果』についての続きです。
まず、筋交いについては、貫と比較して、剛性が高い(変形しにくい)という利点があります。

一方で、その欠点としては、大きな水平力を受けて軸組(柱・梁・土台などによるフレーム)が大きく変形して、
平行四辺形になってくると、引張筋交いは長さが足らなくなり、外れようという力が働き、
また、圧縮筋交いの方では、軸組の接合部を強く押しますので、その接合部をはずそうという力が働きます。

よって、筋交いは、軸組との接合部や、軸組の部材同士も金物で補強する必要があります。

そこで、私の提案ですが、この『筋交い』に『貫』を併用することによって、お互いを補強しあい、
地震や台風による水平力に対して、格段に効果を増すという事です。

1. 併用することで、部材同士の接合部の数も増加し、揺れのエネルギーを分散して、
傾きにくくなり、架構全体の剛性を高めます。

2. さらに、傾いた場合でも、筋交い(特に圧縮筋交い)の接合部をはずそうとする力は、
貫が柱同士をつないでくれているので、その筋交いの力に対抗してくれるように働きます。

3. さらに、建物が傾こうとすると、『貫とくさび』が効いてきて、さらに『圧縮筋交い』も同じように
抵抗してくれることで、それぞれの力が協力して傾きに抵抗してくれます。

以上が、私の考えです。

結果として大地震に対しても、建物の倒壊を防ぐ効果が大きいと考えています。
今年はもうすぐ東北の大地震から10年ですし、
私も熊本の2度の大きな地震を福岡県の南部で体験いたしました。
それぞれ、『想定外』の地震でした。
私も今後、さらに、勉強していきたいと思っています。



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