木と水と土と米作りの話 その6

木と水と土と米作りの話 その6

木と水と土と米作りの話 その6

2021年08月22日
テーマ
雑学

設計の小林です。
先日からの大雨で、被災された方、心よりお見舞い申し上げます。

本日も前回の続きで、この大雨とも関連する話ですが、『降水を土に返す(水田は多目的ダム)』という内容です。

一般に日本の川は急流で短く、雨が降っても洪水流となって、一度に海に捨てられる暴れ川でした。
そのような暴れ川の氾濫原に、主たる土地利用を求めてきたのが日本人でした。

氾濫原なので、そこには豊かな水がありますが、一方でそこは洪水の通り道でありました。
日本人は、その付き合いにくい川を実に巧みに治めて、独特の文化を築いてきました。

それは、『降水を土に返す』という思想に貫かれており、『治水は治山(治山と砂防は同義)にあり』というものでした。

このようにして大河川の治水が進むと、水田が開かれます。
水田は降水を蓄える遊水地であり、その水は地下へ浸透して地下水になり、下流へ流れ出て川の水を提供する。
そのようにして、水は繰り返し使われたので、稲作という、水を大量に使う土地利用ができたのであり、
それでもなお水は足りなくて、溜池が築かれました。

このように、水を使う事が水を治めることであり、水を使う事が水を生産することでありました。
水田は、治水と利水との多目的ダムでした。
『農業が水を使う』という事が、それ自体水を作り出す事だったのでした。
なぜなら、放っておけば海へ行ってしまう川の水を、その分大地にとどめておくことになるのですから。

続きはまた次回に。

今年もまだ台風の季節ですので、皆様どうかお気をつけください。

田舎の村 fukei_mura.png

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